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腎臓の定義から診断まで
(1)腎臓の位置と構造
腎臓は左右に1対あり、大きさは手拳大の臓器です。腎臓の内部構造は外側に皮質、その内側に髄質があります。
ネフロン(腎単位)とは、腎臓の基本的な機能単位です。150~200万個ほど存在し、ネフロンで濾過、再吸収、濃縮が行われ、原尿が作られます。
(2)腎臓の機能
腎臓は
- 血液の浄化作用
- 体内水分量や電解質の調整
- ホルモンの分泌と調整
など、生命と健康の維持に重要な働きをしている。
また、東洋医学においても、腎は「作強の官」(さきょうのかん)と呼ばれ、人体の生命活動を維持する基本的な栄養物質である精を貯蔵し、五臓六腑の要求に応じて随時供給するものと考えられている。
※参照 素門-霊蘭秘典論編、上古天真論編
(3)腎臓病の種類
- 慢性(急性)糸球体腎炎
- 糖尿病性腎症
- 多発性のう胞腎
- 腎硬化症
- ネフローゼ症候群
- 慢性腎盂腎炎
- その他
1~6が代表的な腎臓病であり、ほとんどの終末像は腎不全です。
腎不全とは病名ではなく、腎機能(ろ過量)が50%以下に低下した状態をさします。
現在、クレアチニンが2.0を超えた場合を腎不全ということが多くわが国における血液透析導入患者の90%が、1.慢性糸球体腎炎と2.糖尿病性腎症で占められています。
※参照 日本透析医学会 我が国の慢性透析療法の現状
(4)腎臓病の原因
腎臓病の種類によりその原因は全て異なりますが、主な原因として以下のものがあげられます。
- ウィルス感染によるもの
- 生活習慣によるもの・・・・糖尿病性腎症
- 高血圧によるもの
- 免疫力の低下によるもの
- 遺伝・・・・・・・・・・多発性嚢包腎
- その他
(5)腎臓病の症状
一般に沈黙の臓器というと「肝臓を指しますが、」実はそれ以上に沈黙をしているのが腎臓なのです。自覚症状はほとんどありません。あっても、足がつる・尿の状態(色・泡・量)やむくみ程度です。
ご本人は痛くもなんともないので、かなり進行しないとわからないのです。
英語に、「チャンス血尿・チャンスタンパク尿」という言葉があります。
これは、集団検診や学校検診などで「偶然」見つかることを指しています。
そして、自覚症状が少ないのは、末期腎不全の患者さんでも同じです。
クレアチニンが8~10位まで上昇しても、大した自覚症状がない方もまれにいます。
(5)腎臓病の診断
腎機能の状態は、腎生検、画像診断、血液検査(血清クレアチニン・尿素窒素(BUN))・尿検査(尿素アルブミン)等で判断する。その中でも、血清クレアチニンと尿素窒素の値が最も重要視されています。その他、貧血・カリウム等も参考にされます。
IgA腎症、IgE腎症、IgM腎症などは、腎生検をしなければわかりません。
ただし、遺伝性の多発性嚢包腎はすぐには確定できない場合があります。
血清クレアチニンとは
筋肉の中にはクレアチンリン酸と呼ばれるエネルギーを貯めた窒素化合物が含まれている。これが酵素の働きによってクレアチンに分解されるときエネルギーを放す。そのエネルギーを使って筋肉は動く。クレアチンはその役割を終えると、クレアチニンという物質に変わる。体内の窒素は腎から排泄され、クレアチニンも血液を介してすべて腎臓より尿中に排泄される。このためクレアチニンの血中濃度は腎機能(ろ過能)の指標として用いられている。
腎疾患の進行とともに、腎機能が正常の半分以下に低下すると血清クレアチニン濃度は上昇する。腎機能が正常の20%~30%以下になると腎不全と呼ばれる。正常の5~10%以下になると血清クレアチニンは高値となり、尿毒症となり腎移植か人工透析をしなければ死にいたる。
血清クレアチニン値は、筋肉の量により決まるので体重差により若干の幅がある。
基準値は、成人男性では0.6~1.2 mg/dl、成人女性は0.4~0.8 mg/dlである。
2mg/dlでその機能は50%まで低下し、通常7~8 mg/dlで人工透析の導入が検討され、10 mg/dl以上で腎移植か人工透析をしなければ尿毒症により死亡します。